前回の異母国フランスを思う①の続きみたいな記事です。
今回も過去の個人的な昔話です。
フランスへの切っても切れない縁は
思い起こせばカナダ留学中(1999年)にも起こっていました。
春休みに、
バンクーバーから長距離バスで
アメリカのサンフランシスコまで
友達と貧乏旅行に行ったときのことです。
ここで(学校の先生以外で)人生初めてのフランス人に会います。
ホステルのラウンジで
黙々とポストカードを書いていると
何やら気配を感じる、
と思ったら
同じ長テーブルの端っこに男の人が座って来てこちらを見ていました。
ああよくあるパターンの「ナンパ」じゃないといいなあ~
と無視しつつ。
でもその男性は目が合ってしまった瞬間を逃さず、
「ハロー」と。
面倒くさいことになりそうだ、
と思ったんですが
寂しそうな甘い目のその青年が
「ワイン飲む?」
と訛のあるシュワシュワ〜とした英語で聞いてきます。
まだハタチやそこらでお酒に慣れていなかった私は
「ワインは飲んだことがないから(いらない)」
と断ったんです。
ましてや知らない人に飲み物差し出されること自体危険ですし。
すると、
「ワイン飲んだことがないだって!?なんてことだー!じゃあ今日は君の人生のラッキーデーだ。これは世界でも最高のワイン、ボルドーワイン!これを飲んだら他のワインが飲めなくなるぞー!人生が変わる可能性があるぞー!」
と、
北米人ではめったにない憂いと笑いがバターと混ざったような
なんともへんてこなテンションで返されました。
いくらお酒に詳しくない私でも
ボルドーって有名な仏ワインの産地なのはどこかで習ったはずで
知っていました。
この青年の「ボルドー」って部分だけフレンチな発音が
妙におかしくて(笑)
日本語がカタコトなアメリカ人が
「わたしの名前はマイケルです」って言ったとき、
マイケルの部分だけアメリカンな発音で
マイコーになって聞き取りにくい感じになる、
フランス語バージョンって感じです(笑)
「フランスの最高級ワインを断るなんて君はどうかしてるよ!」
とへんてこなテンションで今あったばかりの私を
説得しようとする青年。
やいやい断りにくいなあと、
結局一口頂い記憶です。
良い子は真似しないでね!
残念ながら私には良さがわからず、
特に美味しいとは思わなかったと思うし
別に今もワインが好きではないです。
でもこれをきっかけに
いろいろ話をすることになります。
彼はパリからサンフランシスコに働きに来ていて
仕事は見つかったのだけど
自称、こんなクレイジーなフランス男を住まわせてくれるところがなくて
アメリカに着いて以来
ホステルに長期滞在するハメになっているのだそう。
でも基本ホステルって数日しか利用しない旅行者が来るところだから
友達になってもみんな去って行くんだ(笑)と。
受付の人と友達になったものの
ずっといる変わり者の俺に退屈してるんじゃないかと
心配になってきたところだ、
と、湧き出る泉のように自分の話をし始めて(笑)
そしてサンフランシスコにもう2ヶ月もいるのに
仕事も忙しいし
あのゴールデンゲートブリッジにさえ観光に行けてないんだと、
可愛そうな自分を嘆いていました。
シュールにもチャーミングなこの人、
元気ハツラツの北米とは違い
なんか憂いに満ちていて気の毒(笑)
ほっておけない性分のわたし(笑)
「じゃあ明日ゴールデンゲートブリッジ行くけど一緒に来る?」
と誘ってしまいます(笑)
バンクーバーから一緒に来た友達にも彼のことを説明して
丸一日一緒にサンフランシスコ観光。
で、このクレイジーフランス人、
今でも連絡を取っている大親友になっていくんです。
1999年にサンフランシスコで会って以来
手紙やEメールで年に何度かやり取りをしていましたが、
その後再会したのはその7年後の2006年。
初めてパリに行ったときに7年ぶりなのに
めちゃくちゃ喜んで空港まで迎えに来てくれた人。
その後一緒にスエーデンに旅行に行ったり、
ジーノの地元、静岡にも遊びに来てくれたり、
モントリオールにも数年前奥さんと遊びに来てくれました。
今でもボルドーワインの良さが分からない私ですが(笑)
ボルドーって聞くたびに
サンフランシスコのホステルを思い出します。
世界は繋がっていますね。
来月行くパリで、数年ぶりに会う約束をしています。
サンフランシスコのときと
ノリが全く変わってなくて
また笑わせてくれるでしょう。
「君が来るなら有給を取るよ!」
とまたあのテンションで喜んでくれて
会うのが楽しみです。
そして今回の渡仏の後半、
始めて彼の故郷ボルドーにも
寄れたらいいなあと思っています。

ワインの良さがわからない私ですが、ボルドー近郊の村サンテミリオンのワインを飲んだ時は唯一感じるものがありました。
この村もものすごくかわいかったし。
それ以来どうしても赤ワインを選ばないとならないときはこのサンテミリオンを選びます。
長く付き合うことになる友達に
人生のどの場所で出会うかわからないものです。
これから留学や旅行に行く方、
変な人と一生モノの友情が芽生える出会いになる人かの
見極めができるように
是非、自分の目を、勘を、
肥やしておいてください。
当時私にその人を見る目や勘が備わっていたかは不明ですが、
アブナイ人か、純粋に話してくる人か、
海外で言語も違うと特に、
基本的にに警戒心は強いほうがいいと思います。



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